知的財産権をめぐる話題
このページには、特許権などの産業財産権や産業財産権に著作権や育成権などを含めた知的財産権に関する話題を掲載します。

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 2025〜2030年ごろを見すえた新たな知的財産戦略ビジョン


 知的財産戦略本部は、2025〜2030年ごろを見すえた新たな「知的財産戦略ビジョン」を策定した。同ビジョンでは、(1)これからの時代に対応した人材・ビジネスを育てる、(2)挑戦・創造活動を促す、(3)新たな分野の仕組みをデザインする――を重点事項として挙げ、(3)の中で、コンテンツ創造へのAI・ブロックチェーン活用を掲げている。このページには〜「価値デザイン社会」を目指して〜との副題のついた「知的財産戦略ビジョン」の内容を24回に分けて掲載する。22/24

第5.将来の「仕組み」に向けて今後の検討が必要な課題-4
2.具体的なシステムの例-3
(3)世界に共有される価値や感性の持続的な生産・発信・展開
@ クールジャパンの魅力分析・効果的発信【短・中期】
 訪日外国人数や海外の日本食レストラン数の急速な増加など日本への関心が高まる中、クールジャパン戦略を将来へ向けて価値を生む成長戦略の一部と捉え、「外国人がよいと思う日本」から付加価値を生み出すため、「日本のどのような表現、考え方、文化等が、どのような外国人に、なぜ魅力的たりうるのか」を的確に捉え、それを踏まえた取組を進める。
 このため、
・ 外国人がよいと思う日本の魅力の本質(例えば、緻密さ・きめ細やかさ、道を究める姿勢等)を踏まえてクールジャパン資源を創出・発見・編集する
・ 外国人に訴求するストーリーやコンテクストを紡ぎ出し、提示しつつ、効果的に発信する
・ 国や地域の市場の特性に加え、所得や宗教等の社会的属性による嗜好を踏まえて、戦略的に展開することを、単なるプロダクトアウトの発想ではなく、顧客の潜在的なニーズをすくいとる発想(マーケットインをさらに進化させた、言わば「カスタマーイン」)の観点から行い、より多くの外国人に、より高い付加価値をもって日本を消費してもらうことを目指し、以下の取組を進める。
? ストーリーやコンテクストを紡ぎだし、提示することにより、クールジャパンに付加価値を与える運動の推進
多くの有識者が指摘しているとおり、精神的なものから物質的なもの、ポップカルチャーからハイカルチャーまで、それぞれのクールジャパン資源の付加価値を高めるために極めて重要なストーリーやコンテクスト(地域文化や歴史上の背景、世界文化史上の位置づけなど)を語る取組を幅広く促進する。その際、2018年2月に実施された「クールジャパンの再生産のための外国人意識調査」、ストーリーやコンテクストのモデルの一例としての「日本語り抄」などが参考になる。
? クールジャパンに係る研究の推進・継続
また、外国人に訴求するクールジャパンの特質に関し、物語やストーリーをよみがえらせ、再編集する「ルネサンス運動」などを通じて、さらに深い研究・体系化や、国別、属性別の分析をさらに深めるために必要な基礎的な知を集積するための場や装置作りについても検討を行う。
? 都市と地域の協業や地域の魅力をプロデュースする人材の育成
地方のクールジャパン資源を発掘し、地域の魅力を高めるため、外部のシーズや人材を持ち込んで、地域のシーズやニーズ、人材と掛け合わせ、みがきあげる39。その一環として、地域での実証などを通じ地域プロデュース人材を育成する。
? 各種メディアや在外公館等を通じた多様な日本の魅力の発信
磨きあげられた地域の多様な価値を、専門家の派遣や外国人報道機関関係者を含めた各種招へい、放送コンテンツやウェブマーケティング等を活用し、外国人に伝わりやすいかたちで効果的に海外に発信・展開する。また、在外公館等を通じ、国や地域の特性、所得や宗教等の社会的属性による嗜好を踏まえ、戦略的に多様な魅力の発信をきめ細やかに行う。


 知的財産推進計画2018

 知的財産戦略本部は、〜旧ビジョンの成果を起点に、プロイノベーション戦略の考えを軸として、新たな知財ビジョン(価値デザイン社会)の実現へ〜に向けた、「人・ビジネスを育てる」、「挑戦・創造活動を促す」、「新たな分野の仕組みをデザインする」の三つの重点事項を含む「知的財産推進計画2018」を発表した。このページには「知的財産推進計画2018」の内容を19回に分けて掲載する。3/19

1.はじめに-3
(3)「知的財産推進計画2018」策定にあたって
「知的財産推進計画2018」は、基本的には2013年の「知的財産政策ビジョン」の枠組みの下での取組を前進させ、これまでの成果を次の段階への基盤としつつ、新たな知財戦略ビジョンへのバトンゾーンとして位置付けられる。この新たな知財戦略ビジョンへの移行にあたり、特に昨年から今年にかけての知的財産を取り巻く状況も、以下の通り急速に変化していることを意識する必要がある。
ひとつは、新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れてイノベーションを創出し、一人一人のニーズに合わせる形で社会的課題を解決する新たな社会として2016年に提唱された「Society 5.0」への取組が、産業界も含め様々な分野において加速していることである。
また、2015年9月の国連サミットにて全会一致で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs: Sustainable Development Goals)実現に向けた国内の機運も、我が国における2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催や2019年の20か国・地域(G20)首脳会合主催が決定する中で高まっている。SDGsが世界の共通語としてますます幅広く認知されるようになり、経済界においてもその追求が経営課題として広く認識されるようになってきた。わが国でも、2017年11月に日本経済団体連合会が「企業行動憲章」の改定を通じてSociety 5.0とSDGsの達成を結びつけ、その達成された姿がSociety 5.0であると位置づけるようになった。
次に、ビッグデータ、AIに次ぐ新技術の社会展開である。ブロックチェーン技術が幅広く使われるようになり、仮想通貨をはじめとする金融分野での活用事例に留まらず、商流管理やシェアリングエコノミー、コンテンツなど非金融分野での利用が始まりつつあり、それを活用した知的財産の管理にも十分な可能性が出てきた。これによって、例えば、コンテンツの(資金調達を含む)制作・配信・享受の方法の変化や、一般ユーザーも取り込んだ制作主体の多様化を通じて、コンテンツ産業の在り方が変わる可能性がある。
また、量子コンピューティング技術が急速に実用化に向かっている。これが社会の中でより幅広く使われるようになると、例えば創薬などの分野でビッグデータやAIの活用が普及し、研究開発の在り方やそれに伴う知的財産の扱いに大きな変化をもたらす可能性が高まってきた。
さらにゲノム編集技術などの最先端バイオ技術は、ビッグデータやインフォマティクスなどデジタル技術とも結びつき、健康・医療・食料生産等に革新的な変化をもたらす。これらの分野からはデータを含め一層多くの知的財産が創出されることが予期されるが、個人情報保護や安全性、倫理等に関する分野独自の要請も踏まえながら、その扱いについて検討していく必要がある。
IoT、ビッグデータ、AI時代における供給者と需要者の直接的な結びつきは、世界中で新たなビジネスを生むと同時に、消費者の側にも、よりきめ細やかな「カスタマイズ」への欲求や、モノの所有よりも社会的共有から便益を得ようとするシェアリングエコノミー、使用価値や体験を重視するコト消費といった新たな価値追求が生じている。体験や共感を求めるユーザーの多様な価値観が市場を牽引する時代へと変化する中、企業は、無形資産を活用し、ユーザーの多様な価値観に訴求する価値創造メカニズムを機動的・継続的にデザインすることが求められており、そうした活動の結果、イノベーションを加速することが期待されている。そのため、各企業では、自社の有する無形資産を的確に把握し、それらをどのように活用し、外部資源を有効に組み合わせて価値を創造するかについて、明確に認識し、共有しておくことが重要となる。
一方、このような消費者のデータを囲い込む大型プラットフォーマーの問題も指摘されていたが、膨大なデータを握り、プラットフォームを提供する事業者の力が、時には既存の産業生態系を破壊するなど顕在化する中で、欧州連合(EU)のようにそれらの自由な活動に一定の追加的コストを負担させようとしたり、個人データの移動について制限を設けたりする動きが出てきた。我が国としても、国際的な動向を見極めながら、適切に対応する必要がある。
また、新技術から生ずる負の側面としては、昨年から今年にかけ、マンガや動画コンテンツに関するインターネット上の海賊版被害が大きく取り上げられ、正規版コンテンツの流通促進と並行した早急かつ抜本的な対応が必要となっている。



 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜

 知的財産戦略本部は、「 安定的なモノの供給が市場を牽引する20世紀型の工業モデルの時代から、体験や共感を求めるユーザの多様な価値観が市場を牽引する時代へと変化する中、市場を牽引する力の源泉となる無形資産が果たす役割は増大している」として、「 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース」を開催。その結果を「財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜」として発表。このページには、同報告書の内容を24回に分けて掲載する。22/24

第4章 価値創造メカニズムを見える化する効果と政策展開の方向性-2
第1節 経営デザインシートを作成して内外に示す効果-2
第2項 経営デザインシートを社内に示す効果
作成した経営デザインシートを社内に示すことは、社内の意思疎通・意思統一の円滑化を促し、従業員のモラール向上が期待される。また、それらも踏まえて、社内イノベーションが促進されることが期待される。

(@)社内調整の円滑化
企業理念、そのための経営方針、それを実現するために各事業がいつ何をするかを(状況によっては社内共同で作成し)関係部署に対して経営デザインシートで示せるようになり、部門間の疑心暗鬼や漠然とした不安を解消し、社内調整を円滑化することに資する。

(A)従業員のモラール向上
自社が何を目指し、それにはどんな意義があるか、自らの位置付けはそのどこにあり、なぜ今の業務を行っているかを経営デザインシートで示せるようになるので、社員個人の誇りと自覚を促し、個人と個人、個人と組織の間に適切な関係を構築することに資する。

(B)社内イノベーションの促進
社内調整の円滑化と従業員のモラール向上に加えて、経営デザインシートが自社のこれからの姿とそれに向けた戦略を示すことで、社内に変革に向けた空気が醸成され、社内イノベーションが促進されることが期待される。

第3項 経営デザインシートを社外に示す効果
作成した経営デザインシートについて、相手方や内容、精度、タイミング等を踏まえて外部の者に示すことには、信頼向上、マッチング、金融円滑化等、様々な効果が期待される。また、各企業が知財の価値を公表していくことで、知財の価値の相場観が形成され、知財の価値評価の価額が適正に収斂していくことも考えられる。
ただし、示すことによって自らの弱点や、新たなビジネスのヒントをいたずらに外部に曝すことにつながらないよう、情報のオープンとクローズの使い分けについては十分な注意が必要である。

(@)オープン・イノベーションの円滑化
自社が未来に対してどのような環境を想定しているか、得意分野と苦手分野を明確にし、補完関係にある事業・技術は何か等を取引先等(大学のTLOや産学連携本部、将来取引先となる可能性のある潜在的な者も含む)の外部の人々に対して経営デザインシートを示すことで、ビジネスマッチングや提携関係の構築が容易になる。結果としてオープン・イノベーションが進むきっかけになる。
また、金融機関は、提携を組むのに適切な潜在的協業企業をマッチングさせられる場合もあるため、金融機関と経営デザインシートを共同で作成することは、より適切なビジネスモデルや提携関係等の構築につながるものと期待される。

(A)金融市場とのコミュニケーションによる評価適正化
企業が将来に向けていかなる価値をどの程度産むのかを、経営デザインシートを通じて適切に説明することで、投資家、金融機関等との適切なコミュニケーションと認識の共有を可能にし、金融市場から適切な評価を得ることに資する。

(B)価値評価の結果の収れん
経営デザインシートを外部に示すとともに、経営デザインシートの作成を通じて把握した自らの知財のビジネス価値を評価し、その結果も外部に示すことにより、第三者がそれらについて評価ができるようになる。そうしたフィードバックを得て、更に自らの評価を見直し、このような一連のプロセスが繰り返されることにより、評価結果が適正なものに収れんしその金銭的価値の相場観の形成に資する。



 リンク集

 WIPO
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 特許庁
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 経済産業省
経済産業省のホームページです。
 最高裁判所
最高裁判所のホームページです。
 知的財産戦略本部
知的財産戦略本部のホームページです。
 文化庁
文化庁のホームページです。
 輸入差止情報
税関の輸入差止情報のホームページです。
 仲裁センター
日本知的財産仲裁センターのホームページです。


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