知的財産権をめぐる話題
このページには、特許権などの産業財産権や産業財産権に著作権や育成権などを含めた知的財産権に関する話題を掲載します。

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 2025〜2030年ごろを見すえた新たな知的財産戦略ビジョン


 知的財産戦略本部は、2025〜2030年ごろを見すえた新たな「知的財産戦略ビジョン」を策定した。同ビジョンでは、(1)これからの時代に対応した人材・ビジネスを育てる、(2)挑戦・創造活動を促す、(3)新たな分野の仕組みをデザインする――を重点事項として挙げ、(3)の中で、コンテンツ創造へのAI・ブロックチェーン活用を掲げている。このページには〜「価値デザイン社会」を目指して〜との副題のついた「知的財産戦略ビジョン」の内容を24回に分けて掲載する。7/24

第1.将来の社会変化につながると考えられる現在の環境変化や兆候-4
3.国際関係における環境変化
(米中の存在感の拡大)
 国際社会に目を向ければ、まず注目されるのが米国、中国の存在感であろう。OECDの調査によると、2030年の世界のGDPは、54.9兆ドル(2009年)から111.1兆ドルへ成長するところ、日本は3.8兆ドル(2009年)から4.9兆ドルへ、米国は13.3兆ドル(2009年)から22.5兆ドルへ、中国は8.3兆ドル(2009年)から26.3兆ドルへ成長するとされ、米中両国のGDPは、合計で世界の45%程度にも及び、それぞれ日本の約4〜5倍になる。特許出願数や論文数に関するデータからも、米中の技術力は上位を占め続けると予測される。
(グローバルなプラットフォーム企業の台頭)
 また、Google, Apple, Amazon, Facebook,Microsoftをはじめとする米国の巨大IT企業や、バイドゥ、アリババ、テンセントをはじめとする中国の巨大IT企業などの国家に匹敵する経済規模の企業が台頭し、国際プラットフォームを形成している。これらのプラットフォーム型企業は、ユーザーに大きな利便を与える一方で、個人情報保護の問題なども明らかになっている。その圧倒的規模やユーザーに対する強大な影響力で自らの望む秩序を形成できる状況にあることや、いわゆる「ひとり勝ち」による格差を生じさせる可能性があることが、潜在的な課題として指摘されている。プラットフォームの社会への影響力の増大に伴い、何らかの規制を導入しようとする動きも出てきている。
(保護主義的傾向の強まり)
 これまで国際協調の下で経済は自由化・グローバル化の方向に進んでいたが、最近になり保護主義的傾向や地域主義的傾向が見られるようになった。例えば、Brexit(イギリスの欧州連合離脱)でテーマとなった人の流入の制限、GDPR(EUの一般データ保護規則)のような個人データの流出の制限、特定製品・特定国を対象にした関税の賦課などの動きである。
(SDGsなど世界共通的課題への本格的な取組)
 世界では様々な地球規模の課題が顕在化しており、2015年の国連サミットでは、貧困撲滅、教育提供、飢餓ゼロ、クリーンエネルギー、産業・技術革新の基礎形成など17の目標が掲げられた「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)が採択された。SDGsは、これまでの先進国-開発途上国という二分の枠組みを超え、社会問題・環境問題を広くカバーしており、世界の共通語として幅広く認識されるようになっている。この動きは、金融中心の資本主義を見直し、より長期的な社会や環境の持続性と経済の両立を図ろうとする大きなものである。我が国の経済界においてもその追求が経営課題と認識されるようになり、経団連もSociety5.0 とSDGsの達成を結び付け、経営戦略の一部として取り組んでいくこととしている。
 また、高齢化・成熟社会に関連した課題も我が国が先陣を切っているものの、いくつかの国では同様の問題に直面しつつあり、経済発展段階が進むにつれて少子化が進むことを考えると、遅かれ早かれ、世界共通の課題になると考えられる。
(経済大国から発信立国へ)
 このような状況の中、我が国が世界経済に占めるシェアは下がっているものの、むしろSDGsの考え方と共通性を有する「三方よし」や「モッタイナイ」「禅」など日本的な考え方が世界の中で評価される傾向も出てきている。ある調査によると、日本のイメージとして1位「豊かな伝統と文化を持つ国」(64%)、2位「経済力、技術力の高い国」(58%)が挙げられていることなどからも、伝統・文化と経済・技術の均衡など、日本の重層性や多様性につながる気づきが拡大していると考えられる。また、訪日外国人が急増しており、例えば2012年の836万人から2017年には2,869万人へと5年間で約3.4倍に急増している。そして、高野山やニセコ、国東半島、三好市など、外国人による日本の魅力の発見及び発信が盛んに行われている。経済的な位置づけが下がる中で、別の観点から我が国としての世界への影響力を保つヒントが多く生まれ始めている。


 知的財産推進計画2018

  知的財産戦略本部は、〜旧ビジョンの成果を起点に、プロイノベーション戦略の考えを軸として、新たな知財ビジョン(価値デザイン社会)の実現へ〜に向けた、「人・ビジネスを育てる」、「挑戦・創造活動を促す」、「新たな分野の仕組みをデザインする」の三つの重点事項を含む「知的財産推進計画2018」を発表した。このページには「知的財産推進計画2018」の内容を19回に分けて掲載する。12/19

2.「知的財産推進計画2018」重点事項 8
(2)挑戦・創造活動を促す-3
B コンテンツの持続的なクリエイション・エコシステムの確立
(現状と課題)
 マンガ、アニメ、映画、音楽、ゲーム、放送番組などのコンテンツは、クールジャパン戦略を牽引する要素であり、対日理解促進においても不可欠なものである。これまで、ローカライズやプロモーションを支援する「ジャパン・コンテンツ ローカライズ&プロモーション支援助成金」(J-LOP 事業)や、放送コンテンツ海外展開事業等の政府の施策が着実に実行され、成果を挙げてきた。
 今後、海外展開を深化させていくためには、「モノ」から「コト・サービス」へと移りつつある消費動向や5G 通信の整備等の技術革新、通信環境の変化を捉えた戦略が必要であり、異業種との連携を含めた面的展開の取り組みを支援していく事も必要となる。例えば、昨今、コンテンツ分野における新たな成長領域として注目されるe-スポーツは、配信の主流がデジタルになったことで生まれたビジネス展開であり、政 府として、こうした新たな動きを迅速に捉え、必要に応じ、健全な発展のための適切 な環境整備に取り組んでいくことが求められる。
 加えて、コンテンツ産業の持続的発展のためには、制作環境の整備が必要であり、クリエーター等が新たな手法で資金調達を行い、作品を流通させる試みを支援することが求められる。ブロックチェーン技術等の新たな技術は、著作物の管理・利益配分の仕組みの構築に寄与する可能性があり、こうした新たな技術の活用により、著作物の利活用が容易になることで、クリエーターが適切な対価を得やすい環境整備や、死蔵されている著作物の価値の最大化を促すような取組も併せて後押しする必要がある。
(施策の方向性)
・ グローバルな集客につながる魅力的なコンテンツ製作の担い手(クリエーター)を中心としたエコシステムを創出すべく、@クラウドファンディング等による新たな資金調達を活用するコンテンツ企画製作や海外プロモーションの取組、A海賊版に対抗する世界同時展開の取組に対して支援を実施する。(短期)(経済産業省)
・ 一般社団法人放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)とも連携しつつ、日本の魅力を伝える放送コンテンツを制作し、継続的に海外に展開する取組を支援するとともに、放送コンテンツの海外展開に必要とされる人材育成や、展開先市場の調査に取り組むことで、インバウンドの拡大、クールジャパン、地方創生等に寄与する。 (短期)(総務省)
・ 国際交流基金を通じ、商業展開が難しく日本文化へのアクセスが困難な国・地域を中心に、対日理解促進を目的とし、一度失うと獲得するのが困難な放送枠を維持しつつ、日本の放送コンテンツを提供し続けることで、日本ファンを爆発的に獲得する。加えて、将来的に日本のコンテンツが自立的に海外展開するための先行マーケティングとして、現地市場構造の調査及び現地テレビ局の番組購入意思の調査等を実施する。(短期)(外務省)
・ コンテンツの利活用を促進するため、ブロックチェーン等技術を活用した著作物の管理・利益配分の仕組みの構築のための検討を行う。 (短期、中期)(経済産業省、文部科学省)

e-スポーツ: 「エレクトロニック・スポーツ」の略で、主にコンピューターゲームの対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。大勢の観衆の前で行う大会が世界各地で行われている。



 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜

 知的財産戦略本部は、「 安定的なモノの供給が市場を牽引する20世紀型の工業モデルの時代から、体験や共感を求めるユーザの多様な価値観が市場を牽引する時代へと変化する中、市場を牽引する力の源泉となる無形資産が果たす役割は増大している」として、「 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース」を開催。その結果を「財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜」として発表。このページには、同報告書の内容を24回に分けて掲載する。7/24

第2章 価値創造メカニズムの把握とデザイン-2
第1節 全社レベルでの価値創造メカニズムの把握とデザイン-2
第2項 全社の価値創造メカニズムを把握-2
(A)組み合わされる複数の経営資源(X)を把握
価値創造メカニズム全体の把握のためには、その構成要素の経営資源と、事業ポートフォリオや収益の仕組みの両面からの把握が必要になる。ここではまず、経営資源の把握について述べる。
経営資源を分類して認識するフレームワークは種々あり、例えばIIRCの統合報告フレームワークでは、企業が活用する資本は、金融資本、製造資本、人的資本、知的資本(概ね本報告書の「知財」に相当)、社会・関係資本及び自然資本という6資本で構成されている。提案されている各フレームワークによって経営資源の分類や定義等は若干異なるものの、経営資源がダイナミックに組み合わさることで価値は創造される。
20世紀型モデルにおいては、有形資産の重要性が相対的に高かったことに加え、財務資本と、製造資本及び人的資本の一部とが、財務的に把握可能(タンジブル)な経営資源であることと相まって、企業価値創造の中心的な経営資源としてクローズアップされやすかった。しかし、21世紀モデルにおいて重要性が有形資産に比べて増している無形資産(とりわけ知財)は、無形であるがゆえに把握が困難である一方で、他の全ての資本と重複・連携するものであることから、特に適切に把握することが必要である。

(B)ビジネスモデル群(F(X))を把握
ここでは、創造したい価値(Y)及び経営資源(X)を把握した後で残るビジネスモデル及びその組合せ(F(X))の把握について述べる。
企業が複数の事業を展開している場合、個別の事業価値の総和が企業の価値になるとは限らない。例えばある赤字事業が存在する企業において、当該事業の存在に裏打ちされたポジティブなブランドイメージや、当該事業が構築した顧客・取引先とのネットワークが他事業に転用されていることもあり得る。この場合、当該事業は、単体で赤字であることのみをもって、当該企業に不要な事業であるとは言えない。むしろ、当該事業の功績により、その他の事業の黒字が成立している場合もあり得る。
したがって、各事業個別の価値創造メカニズムと、そこに投入される経営資源の関係等を踏まえ、統合的な視座から全社的視点でどのように価値を創造しているかを事業間のシナジーにも留意しつつ、各事業の関係において把握することが重要になる。この全社的視点での把握のためには、事業ポートフォリオを把握することが有効である。



 リンク集

 WIPO
国連の世界知的所有権機関のホームページです。
 特許庁
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 経済産業省
経済産業省のホームページです。
 最高裁判所
最高裁判所のホームページです。
 知的財産戦略本部
知的財産戦略本部のホームページです。
 文化庁
文化庁のホームページです。
 輸入差止情報
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 仲裁センター
日本知的財産仲裁センターのホームページです。


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