知的財産権をめぐる話題
このページには、特許権などの産業財産権や産業財産権に著作権や育成権などを含めた知的財産権に関する話題を掲載します。

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 2025〜2030年ごろを見すえた新たな知的財産戦略ビジョン


 知的財産戦略本部は、2025〜2030年ごろを見すえた新たな「知的財産戦略ビジョン」を策定した。同ビジョンでは、(1)これからの時代に対応した人材・ビジネスを育てる、(2)挑戦・創造活動を促す、(3)新たな分野の仕組みをデザインする―を重点事項として挙げ、(3)の中で、コンテンツ創造へのAI・ブロックチェーン活用を掲げている。本頁には〜「価値デザイン社会」を目指して〜との副題のついた「知的財産戦略ビジョン」の内容を24回に分けて掲載する。2/24

はじめに〜新しい時代の新しい知財戦略〜
 2002年に知財立国が打ち出されて以来15年余、今や世界経済は、ビッグデータ、人工知能、IoT関連技術に牽引される第4次産業革命の真只中にある。
 そこでは、大きな変化が明確になってきた。今や世界を代表する企業であるGAFAや中国のBATなどの活躍は、イノベーションが供給主導から需要主導に大きく変質していることを物語っている。需要側を見ると、モノからコト消費へと比重が移りつつあり、また、所有や交換より共感やシェアリングを志向する人々が増加している。少子高齢化や環境エネルギー等の我が国における、また国際共通課題としての顕在化である。経済社会全体の在り方としても、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)が今や世界の共通語として認知されるようになり、これまでの短期志向の金融資本主義は修正を迫られつつある。さらに、今後が期待される新しい技術であるブロックチェーン技術、量子コンピューティング技術、ゲノム編集技術なども、新しい社会の中で重要なツールとして実装され、社会を変えていく可能性を秘めている。我が国では訪日外国人が約2800万人に達し、2012年の3倍以上になっている。
 こうした面も含め、2013年に策定された「知的財産政策ビジョン」の想定を大きく超えた異次元での変化が進行している。
 デジタル・ネットワークがあらゆる場面に普及・浸透して産業構造やライフスタイルを変え、即物的な「モノ」よりも「サービス」や「情報」、「アイデア」、「ビジネスモデル」、「デザイン」等が重要となる中、知的財産は、これまでとは違う形で、しかしこれまで以上に価値創出の核心になるだろう。このような社会全体の変化の方向性を踏まえた中長期の知的財産戦略についてのビジョンが、今求められる理由である。
 そのため、昨年末に知的財産戦略本部の下に「知的財産戦略ビジョンに関する専門調査会」を設置し、幅広い年代・専門性を持つ有識者議員により、2025年から2030年頃を見据え、来るべき社会像と価値の生み出し方、そしてそれを支える知的財産システについて、中長期の展望及び施策の方向性を示すための議論を重ねてきた。今般、それをビジョンという形で取りまとめたものである。
 新しい時代を議論するためには、議論の仕方自体もグループ討議など新しい方式を取り入れた。より自由で活発に議論を戦わせることができるよう、 議論をオープンにしながらもチャタムハウスルール(参加者は会議中に得た情報を外部で自由に引用・公開することができるが、その発言者を特定する情報は伏せなければならないとするルール。)により、個々の発言が予期せぬ個人攻撃や誤解を招くことがないようにした。
 今後、このビジョンを世に問い、自由で活発な議論が行える場でその有効性を検証しながら見直しを行いつつ、この新たなビジョンを政府全体で共有した上で、将来社会に必要な具体的システム設計を積極的かつ創造的に行って実施していく。そのことが、知財立国からさらに進化した我が国が、力強い産業と文化の発展を実現し、国際社会にも認められながら成長していくために必要不可欠である。


 知的財産推進計画2018

 知的財産戦略本部は、〜旧ビジョンの成果を起点に、プロイノベーション戦略の考えを軸として、新たな知財ビジョン(価値デザイン社会)の実現へ〜に向けた、「人・ビジネスを育てる」、「挑戦・創造活動を促す」、「新たな分野の仕組みをデザインする」の三つの重点事項を含む「知的財産推進計画2018」を発表した。このページには「知的財産推進計画2018」の内容を19回に分けて掲載する。7/19

2.「知的財産推進計画2018」重点事項 -3
(1)これからの時代に対応した人材・ビジネスを育てる -3
C 知財創造教育・知財人材育成の推進
(現状と課題)
イノベーションの創出のためには、新しいものを創造する人材や、創造されたものを活用したり他の様々なものと組み合わせたりして、新しい価値を生み出す仕組みをデザインできる人材が必要である。
2017年1月に設置された「知財創造教育推進コンソーシアム」では、「新しい創造をする」こと、「創造されたものを尊重する」ことを理解させ、育むことを柱とする「知財創造教育」を推進するための取組を行っており、2017年3月に公示された学習指導要領において、創造性の涵養を目指した教育を充実させていくことが示されたことを踏まえ、2017年度は、知財創造教育を学校教育の中に取り入れやすくするよう、知財創造教育と新学習指導要領との対応関係等を整理することを通じて、小中学校における知財創造教育の体系化を行った。また、知財創造教育を地域において実施するための体制構築に関する調査を行ったところである。
今後は、知財創造教育を一層教育現場に浸透させるための取組を行うとともに、高等学校における知財創造教育の体系化や、現場の教職員が知財創造教育を実践できるようにするための支援方策について検討することが求められる。
(施策の方向性)
・ 知財創造教育を実施するための教材の収集、小中学校における知財創造教育の実証、高等学校における知財創造教育の体系化、知財創造教育の成功事例の発信等を通じ、教育現場に知財創造教育を浸透させるための取組を推進する。 (短期、中期)(内閣府)
・ 地域において知財創造教育を推進する体制(地域コンソーシアム)の拡充について検討する。(短期、中期)(内閣府)
・ 創造性の涵養及び知的財産の意義の理解等に向けて、小中高等学校において、発達の段階に応じた知的財産に関する教育が行われるよう、新学習指導要領の趣旨の徹底を図る。(短期、中期)(文部科学省)
・ 教育現場の教職員が知財創造教育の必要性を理解し、自ら知財創造教育を実施できるようにするため、教職員および教職員を目指す学生向けの教材を作成する。(短期、中期)(内閣府、経済産業省)



 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜

 知的財産戦略本部は、「 安定的なモノの供給が市場を牽引する20世紀型の工業モデルの時代から、体験や共感を求めるユーザの多様な価値観が市場を牽引する時代へと変化する中、市場を牽引する力の源泉となる無形資産が果たす役割は増大している」として、「 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース」を開催。その結果を「財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜」として発表。このページには、同報告書の内容を24回に分けて掲載する。2/24

検討の目的、課題等
第1項 検討の目的
本検討は、我が国の産業競争力強化のため、企業価値に占める割合が増大し続けている無形資産(とりわけ知財)に着目し、価値創造メカニズムの主体としての企業が持続的かつイノベーティブであり続けるためには、知財のビジネス価値が適切に評価されることが重要であるとの認識のもと、その評価の在り方を示すことを目的とする。
また、その評価を行うための前提となる、価値創造メカニズム自体、及びその中における知財の位置づけを明確に意識するための経営デザインシートのひな形を示すことも目的とする。

第2項 従来の知財の価値評価の課題
従来、政府において、知財の流通・流動化が促進される環境整備や資金調達に向けていくつかの検討がなされている。それらにより、知財の価値やその評価手法に関する基本的な考え方については、以下のように既に示されてきた。

・ 特許権は事業として成り立って初めて金銭的な価値を産むのであるから、知財それ自体を金銭的価値と同視することは誤解で、知財の価値評価は有機的に組織化された事業の事業価値を前提に算定されるべき
・ 特許権の評価を算定する必要がある場合、個別の特許権ではなく、事業価値に特許群の寄与率を乗じることで評価可能となる
・ (資金調達において)金融サイドが求める情報は、特許・技術の内容よりも、それらがいかに企業の戦略及び組織と結びついているかにある

しかし、「金銭価値と同視するのではなく」「事業に組み込まれた一群の知財としてセットで」評価すべきという注目すべき考え方にも関わらず、実務の現場では、知財の価値を評価する場面として、知財権を取引対象として扱う場面、知財を金融資産と捉え資金調達する場面、事業売買の場面等が主に想定されていたこともあり、経営における知財の位置づけ(価値創造メカニズムのどこに位置付けられるか)を明確にするという考え方は十分には浸透してこなかった。このため、知財を「経営資源」として経営に最大限活用するという観点からの価値評価の検討は、必ずしも十分にはなされてこなかった。こうしたことから、一般的には、知財部関係者にとっては、知財が経営のどこに位置付けられるものであるか、事業の価値創造メカニズムのどこに位置付けられるものであるかを示すことは難しい一方で、経営層や他部門にとっても、専門性の高い知財の役割を十分に活かすことは難しいという課題が残っている。

第3項 検討の前提
・ 経営や事業と紐づけられた知財を把握し、評価する(事業に活用されない知財は価値を産まない)。
・ 経営や事業との関係で知財の果たす役割毎に知財を群として把握・評価する(知財を、個々の知財に分けて評価しない)。
・ 知財の評価結果は、各社の企業戦略に基づき共有・開示の内容や範囲を判断する。
第4項 用語の定義
 本報告書内で使用する用語の用法は以下のとおりである。
知財:人間の創作的活動により生み出されるもの、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報。知的財産。
なお、本報告書において人間の創作的活動により生み出されるものや事業活動に有用な技術上又は営業上の情報には、企業理念、ビジネスモデル、組織文化・組織風土等を含むものと解する。
見える化:企業の経営資源や創造する価値等を含めた価値創造メカニズムについて、図や文字で表現できる程度にまで把握し、共有できるようにすること。
価値評価:従来の定量的な評価のみならず、定性的な評価や、その定性的な評価と定量的な評価を組み合わせて行う価値の評価。



 リンク集

 WIPO
国連の世界知的所有権機関のホームページです。
 特許庁
特許庁のホームページです。
 経済産業省
経済産業省のホームページです。
 最高裁判所
最高裁判所のホームページです。
 知的財産戦略本部
知的財産戦略本部のホームページです。
 文化庁
文化庁のホームページです。
 輸入差止情報
税関の輸入差止情報のホームページです。
 仲裁センター
日本知的財産仲裁センターのホームページです。


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