知的財産権をめぐる話題
このページには、特許権などの産業財産権や産業財産権に著作権や育成権などを含めた知的財産権に関する話題を掲載します。

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 2025〜2030年ごろを見すえた新たな知的財産戦略ビジョン


 知的財産戦略本部は、2025〜2030年ごろを見すえた新たな「知的財産戦略ビジョン」を策定した。同ビジョンでは、(1)これからの時代に対応した人材・ビジネスを育てる、(2)挑戦・創造活動を促す、(3)新たな分野の仕組みをデザインする――を重点事項として挙げ、(3)の中で、コンテンツ創造へのAI・ブロックチェーン活用を掲げている。このページには〜「価値デザイン社会」を目指して〜との副題のついた「知的財産戦略ビジョン」の内容を24回に分けて掲載する。14/24

第3.将来における「価値」とそれを生む仕組み-2
2.我が国の新しいビジネスや国際競争力向上につながる「価値」の創出の仕組み
 それでは、前節で述べた未来の「価値」を生むための「仕組み」はどのようなものなのか。ここでは、その「仕組み」の概念を整理し、具体的なシステムは後述する。
(1)多様な個性を生みだす仕組み
 第一に、「新しい」を作っていけるような多様な個が存在し、活躍するためには、多様な個性を生み・共存する仕組みが必要である。
 多様な個性が生まれるためには、個人の自主性・好奇心・行動力を涵養し、自ら考え、課題を定義し、行動する力、他者との違いを生み出すことができる力、複数の選択肢から主体的に選ぶことができる力などが重要になってくる(例えば、学校教育で創造性を育むことが重要である)。
 一方、多様な個人が同じ社会で共存していくためには、異質な他者とこれまで以上に接触し、違いを受容するための感性やコミュニケーション力も必要になる(例えば、訪日外国人が急増しており、異なる文化を持つ外国人と接触する機会が増えている)。
 こうした能力を育むためには、講義形式で一方通行的に教えるのではなく、個人の関心や発達に応じたやり方が必要であり、IT化によって学びをモジュール化し、各人がそれにアクセスして、自由に選択することができるようにする仕組みが適している面もある。また、特に子供たちにとっては、楽しく学ぶことを通じてより多くのことを吸収し、好奇心を持てるようになるため、バーチャルコンテンツを開発し、活用することも有効である。
 一方、感性、感覚、感動等の人間らしいリアルな部分の能力を伸ばすためには、リアルの体験を提供する仕組みも必要になる。そのためには、自然に接する等のリアル体験の場を多く創ることに加えて、記憶・体験等のコンテンツデータベースや五感を体現できるアーカイブを構築し、活用して、入口とすることも役立つだろう。

(2)多様な個人が活躍する環境整備
 第二に、多様な個人がその能力を発揮し、「新しい」を創ることを通じて、多様な価値の存在する社会を作り上げていくためには、多様な個人が活躍できるような環境が必要である。そのためには、個人にとって選択肢が多く並んでいるだけではなく、選択することについて自由があることが重要である(例えば、本業に加えて、複業として地域貢献したり、趣味を仕事化したりする等)。加えて、そうした選択についてのチャレンジを円滑にするため、失敗した時に再びチャレンジができるような仕組みや環境が存在していれば、失敗を恐れることなく、多様性を発揮することができる。この点については、ベーシックインカム(最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を定期的に支給するという政策)の仕組みを導入して最低限の生活を送るのに必要な額が支給されることとし、失敗しても生活できなくなることがないような方策が効果的との考え方もある。
 また、個人が有する多面的な能力や関心を時間を分割しながら活用していくことが重要との考え方もある。個々人が使える時間を細分化して何にどれだけの時間を使いたいかを申請することにより、多数人のいわば細分化された時間・アイデア・能力の需給をマッチングするプラットフォームを構築し、相互に評価しながら協働していくという仕組みである。その際、実際に集まり活動するようなリアルでの協働を実現するには、個人が自由に移動できるパーソナルモビリティや、移動の高速化などの新交通システムも、それを下支えするものとして必要になる。
 様々な人材のアイデアの交換や結合、協働、そして試行錯誤をする場としては、大学がそのようなプラットフォームの役割を担うことも可能である。


 知的財産推進計画2018

 知的財産戦略本部は、〜旧ビジョンの成果を起点に、プロイノベーション戦略の考えを軸として、新たな知財ビジョン(価値デザイン社会)の実現へ〜に向けた、「人・ビジネスを育てる」、「挑戦・創造活動を促す」、「新たな分野の仕組みをデザインする」の三つの重点事項を含む「知的財産推進計画2018」を発表した。このページには「知的財産推進計画2018」の内容を19回に分けて掲載する。14/19

2.「知的財産推進計画2018」重点事項 -10
(3)新たな分野の仕組みをデザインする
 我が国産業と文化の継続的な発展のためには、人材とビジネスを育て、新たな創造と挑戦を促すだけではなく、その活動を仕組みとして支え、活躍の場を拡大し、あるいは価値創造の新たな源泉を見つけていかなければならない。
このような観点からは特に、国際市場への展開においてますます重要となる標準化戦略を強化するとともに、技術動向やSDGsの推進を通じた課題解決への期待など知財をめぐる新たな状況に対応した知財システム基盤の整備を行うことが重要である。また、現代のフロンティアのひとつは、データ・AI等技術の発達がもたらした新たな情報財であり、その円滑な利活用の方策を引き続き最大限に図る必要がある。
さらに、クールジャパン戦略においても、外国人が良いと思う日本の魅力の本質や、その効果的な発信・展開方法等を見いだし、広く活用していくことで、様々な分野及び地方でのクールジャパン資源の発掘、磨き上げ、価値創造が可能となる。
また、映画ロケは、制作や雇用など直接的な利益の他、ロケ地の魅力を国内外に発信できる可能性や、映画放映後のロケツーリズム、2017年の流行語にもなった「聖地巡礼」など二次的なビジネスチャンスを広げるものであり、民間事業者や自治体の自主的な取り組みも含めた今後の強化が期待される。
最後に、我が国の文化資源を中心とした幅広いコンテンツを、海外からも分野横断でワンストップ検索することができ、それらコンテンツの組み合わせも含めた円滑な利活用の助けとなるオールジャパンのデジタルアーカイブを、速やかに構築する必要がある。

@ ビジネスモデルを意識した標準、規制等のルールのデザイン
(現状と課題)
第4次産業革命時代を迎え、様々なつながりによって新たな付加価値が創出される時代においては、あらゆるモノやサービスをつなぐための国際標準化が重要となっており、特に、個々の製品・技術のみならず、それらの上位レイヤとしてのシステムや、それらを活用したサービスの国際標準化、異業種連携、規制および認証との組み合わせも展開されている。
このような背景を踏まえ、2017年10月に「今後の基準認証の在り方」を産業構造審議会産業技術環境分科会基準認証小委員会において取りまとめ、標準化戦略の在り方、官民の連携の在り方、標準化制度の在り方について方向性を示したところである。従来は国内規格や国際規格の開発を始めとした標準化活動そのものを中心としてきたが、今後は、標準をひとつのツールと捉え、標準化と研究開発、規制、認証等のそれぞれの要素の相互作用を俯瞰した上で、日本企業のビジネスモデルを踏まえた国全体としての基本的対応の方向性を考え、標準、規制等のルールをデザインする必要がある。
また、従来の規制や認証の領域に加え、SDGs や Society 5.0 等、社会的な課題や複合的なシステム等のより上位のコンセプトレベルの標準化についても、官民において検討されつつあるところである。
そこで、このような状況も踏まえつつ、我が国企業が有利に事業展開できるような国際的なルール形成や標準化戦略策定の在り方、官民の連携体制の在り方等について引き続き検討を行っていくことが求められる。
(施策の方向性)
・ 2017 年10 月に産業構造審議会産業技術環境分科会基準認証小委員会でとりまとめられた答申「今後の基準認証の在り方」を踏まえ、ビジネスモデルを踏まえた国全体としての基本的対応の方向性を考え、標準の規制や認証での活用を見据えた国際標準化体制を整備し、官民が連携した国際標準化活動を一層促進する。(短期、中期)(経済産業省)
・工業標準化法における、標準化の対象の拡大、JIS制定の迅速化等の整備を踏まえ、サービス分野を含む標準化戦略策定に向けた各省連携の強化や、認定産業標準作成機関の認定基準整備等、法の適切な運用環境を整備するための必要な措置を講ずる。 (短期、中期)(経済産業省)
・ 2017 年9月に設置した「国際標準獲得に向けた官民連携会議」を活用し、国際的なルールや標準の策定に我が国として特に注力すべき分野について検討するとともに、システム分野の国際標準化等についての官民連携の在り方について検討を行う。 (短期、中期)(内閣官房、経済産業省、関係府省)



 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜

 知的財産戦略本部は、「 安定的なモノの供給が市場を牽引する20世紀型の工業モデルの時代から、体験や共感を求めるユーザの多様な価値観が市場を牽引する時代へと変化する中、市場を牽引する力の源泉となる無形資産が果たす役割は増大している」として、「 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース」を開催。その結果を「財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜」として発表。このページには、同報告書の内容を24回に分けて掲載する。14/24

第3章 知財の価値評価-2
第1節 知財の価値評価の基本的考え方-2
第2項 知財は事業価値の期待値や変動幅に影響
事業価値は、将来キャッシュフローに基づいて把握することが一般的である。この将来キャッシュフローは、その予測をより確からしくするため、平均的なシナリオのもとに算出される中位推計とともに、楽観的なシナリオ及び悲観シナリオのもとに算出される推計値も算出することがある。ここでは、中位推計の値を期待値と呼び、楽観的なシナリオもとに算出される推計値と悲観的なシナリオもとに算出される推計値との差を変動幅と呼ぶこととする。
将来キャッシュフローの成長率に影響する要素としては、企業理念、経営者の資質、経営方針、事業計画、内部環境・外部環境などが挙げられるが、知財も重要な要素である。ビジネスモデルに対して知財がどのように・どの程度貢献するかによって、事業価値は変動するため、事業価値に対して知財がどのように効くかを認識することは、事業の将来キャッシュフローを計算する上で有効であり、また、知財の定量評価にあたっても有効である。実際、知財は、以下で説明するとおり、将来キャッシュフローの期待値及び変動幅に影響を及ぼす。
まず、将来キャッシュフローの期待値が上昇するケースについて、以下に列挙する。
● 市場が拡大している状況下において知財によって当該市場への他者の参入を排斥できる場合(市場の拡大に伴う売上の増加を独占的に享受できるため)
● 知財が他者とのアライアンス形成の契機となって当該他社と連携しながら市場を拡大できる場合
● 知財の保有自体が対外的な信用力の向上につながり新たな取引機会の機会に恵まれる場合
● 特許や商標を裏付けとする技術やブランドの存在により製品やサービスの単価が上昇する場合
次に、知財が将来キャッシュフローの変動幅に影響を及ぼすケースについて、以下に列挙する。
● 知財によって自社ビジネスの広範な範囲が守られている場合、他社によって自社ビジネスを侵害される可能性が減り、将来キャッシュフローの変動幅は小さくなる。
● 特許権などのように権利期間が有限な知財によって他者の市場参入を排斥している場合、権利期間の満了後は市場環境が複雑となって不確定要因が増える結果、将来キャッシュフローの変動幅は大きくなる。
このように、知財は事業価値に影響を及ぼし、その影響は、知財が価値創造メカニズム(ビジネス)において果たす役割に着目することで説明することができる。



 リンク集

 WIPO
国連の世界知的所有権機関のホームページです。
 特許庁
特許庁のホームページです。
 経済産業省
経済産業省のホームページです。
 最高裁判所
最高裁判所のホームページです。
 知的財産戦略本部
知的財産戦略本部のホームページです。
 文化庁
文化庁のホームページです。
 輸入差止情報
税関の輸入差止情報のホームページです。
 仲裁センター
日本知的財産仲裁センターのホームページです。


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