知的財産権をめぐる話題
このページには、特許権などの産業財産権や産業財産権に著作権や育成権などを含めた知的財産権に関する話題を掲載します。

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 2025〜2030年ごろを見すえた新たな知的財産戦略ビジョン


 知的財産戦略本部は、2025〜2030年ごろを見すえた新たな「知的財産戦略ビジョン」を策定した。同ビジョンでは、(1)これからの時代に対応した人材・ビジネスを育てる、(2)挑戦・創造活動を促す、(3)新たな分野の仕組みをデザインする――を重点事項として挙げ、(3)の中で、コンテンツ創造へのAI・ブロックチェーン活用を掲げている。このページには〜「価値デザイン社会」を目指して〜との副題のついた「知的財産戦略ビジョン」の内容を24回に分けて掲載する。17/24

第4.日本の特徴を活用して価値をデザインし、世界へ発信する-2
(ドグマや禁忌の少なさ)
我が国のもう一つの特徴は、比較的緩やかな宗教観を背景にするものとも考えられるが、倫理・思想・慣習などの面におけるドグマや禁忌の少なさである。これは特に、芸術分野では浮世絵などに見られる大胆な表現を生み、また科学技術分野では人型ロボットなど先端技術の社会への受容を円滑に進めたと考えられる。一方で、前述したバランス感覚による内在的な制約が一般に働くことで、ドグマや禁忌が少ないと言っても、社会的逸脱や反社会的行為まではエスカレートしにくい点も特徴的である。
 また、このようなドグマの少なさは、文化面では、例えば昔話から現代の漫画・アニメに至るまでに見られる、非英雄や未熟さ、成長の遅さをありのままに受け入れる視点(すなわち、諸外国でそうであるように、物語を成功譚・成長譚にしなければならないという社会的な暗黙の前提はない。)にもつながっているものと考えられる。

(労働を「苦役」より「喜び」とする捉え方と職人気質)
 働くことについての考え方も特徴的である。労働を苦役と捉える文化圏とは異なり、何かを生み出し、誰かに貢献することを通じた「喜び」「楽しみ」とも捉え、その中で自分にしかできない技能などへの自尊心を持ち、自己の生きがいと感じたりしている。
 このことは、例えば、世界的にも有名になったトヨタの「カイゼン」システムのように、指示がなくても継続的に自らの仕事の対象の改良・改善に向かう真面目さや、また例えばものづくりの現場に見られる細部も疎かにしない器用さや職人性、あるいは伝統工芸分野などに見られる技能と並んで精神的な姿勢も求める「道」の追求にも形を変えて現れている。

(富裕層のみならず庶民も豊富な文化活動を需要・供給)
 文化の面では、特に近世以降の社会において、社会経済の安定や教育の普及などを背景に、貴族や支配層のみならずいわゆる庶民層も文化活動を活発に享受してその支え手となり、時には作り手ともなってきたことが特徴的である。例えば、江戸時代に人気を博した読み本や絵草子、浮世絵、また俳句・川柳、落語、歌舞伎、各種の郷土芸能など、現代に残る文化芸術の数々は、庶民層を主な対象とし、その生活の中に深く溶け込んだものであった。このような庶民層による文化の需要・供給は、現在に至るまでも、出版・音楽・映画産業やマンガ・アニメ・コスプレなどのポップカルチャーを育む源流となっている。

(非言語的感覚や「余白(間)」「アソビ」「単純化(デフォルメ)」の尊重)
 また、すべてを言葉で言い尽くさず行間(言外の意)も含めたコンテクストを表現する非言語的感覚や、音楽芸能から絵画、建築、庭園、相撲などにも現わされている「余白」「間」の意図的な活用も特徴の一つである。また、そのような明示的に定義されないコンテクストを重視する姿勢は、一方で文化のいたる所に「アソビ」(演者の解釈による自由表現、または受け手の解釈の幅に許容する部分)の余地を生むとともに、例えば能や文楽の動作の様式美や工芸品の意匠に見られるような大胆な単純化(デフォルメ)という表現形態にも発展したと考えられる。


 知的財産推進計画2018

知的財産戦略本部は、〜旧ビジョンの成果を起点に、プロイノベーション戦略の考えを軸として、新たな知財ビジョン(価値デザイン社会)の実現へ〜に向けた、「人・ビジネスを育てる」、「挑戦・創造活動を促す」、「新たな分野の仕組みをデザインする」の三つの重点事項を含む「知的財産推進計画2018」を発表した。このページには「知的財産推進計画2018」の内容を19回に分けて掲載する。17/19

2.「知的財産推進計画2018」重点事項 -13
(3)新たな分野の仕組みをデザインする-4
C デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した著作権システムの構築
(現状と課題)
現行の著作権システムについては、大量の情報を利用する場合に全ての著作権者から事前に許諾を得ることは事実上不可能であるなどの課題が指摘されていた。そのため、著作物の行為類型に応じた適切な柔軟性を確保した規定を整備する著作権法改正法案が作成され、国会における審議を経て成立した。
上記改正法の成立を受け、法の適切な運用環境を整備するため、ガイドラインの策定などの措置を講ずる必要がある。また、保護と利活用のバランスを図りながら、イノベーションの促進のため、引き続き、新たな時代のニーズに的確に対応した著作権システムについての検討を継続する必要がある。
(施策の方向性)
・ 著作権法における柔軟性のある権利制限規定の整備を踏まえ、法の適切な運用環境を整備するため、ガイドラインの策定、著作権に関する普及・啓発、及びライセンシング環境の整備促進などの必要な措置を講ずる。(短期)(文部科学省)【再掲】
・ 権利者団体と協力して実施している実証事業の結果等を踏まえ、著作権者不明等の場合の裁定制度の利用円滑化に向けた方策について検討し、必要な措置を講ずる。 (短期、中期)(文部科学省)
・ 著作物等の利用円滑化の観点から、拡大集中許諾制度に係るこれまでの調査研究等の結果を踏まえ、具体的課題について検討を進める。(短期、中期)(文部科学省)
・ 権利処理手続を円滑化し、コンテンツの活用を促進するため、コンテンツ等の権利情報を集約化したデータベースの利用促進を官民が連携して分野ごとに進める。あわせて、音楽分野においてはコンテンツの権利情報を集約化したデータベースの整備と、当該データベースを活用した権利処理プラットフォーム構築のための実証事業を実施する。(短期、中期)(文部科学省、経済産業省)
・ コンテンツの利活用を促進するため、ブロックチェーン等技術を活用した著作物の管理・利益配分の仕組みの構築のための検討を行う。(短期、中期)(経済産業省、文部科学省)【再掲】
・ クリエーターに適切に対価が還元され、コンテンツの再生産につながるよう、私的録音録画補償金制度の見直しや当該制度に代わる新たな仕組みの導入について、文化審議会において検討を進め、結論を得て、必要な措置を講ずる。(短期、中期)(文部科学省、経済産業省)
・ ICT 活用教育等における著作物の円滑な利活用に向けて、教員・教育機関間の教育目的での教材等の共有その他の学校等における著作物利用の円滑化方策について検討を行う。(短期、中期)(文部科学省)
・ 教育機関における著作権法に関する研修・普及啓発活動の促進、及びライセンシング環境の整備・充実等に関する課題について検討し、必要な措置を講ずる。 (短期、中期)(文部科学省)



 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜

知的財産戦略本部は、「 安定的なモノの供給が市場を牽引する20世紀型の工業モデルの時代から、体験や共感を求めるユーザの多様な価値観が市場を牽引する時代へと変化する中、市場を牽引する力の源泉となる無形資産が果たす役割は増大している」として、「 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース」を開催。その結果を「財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書〜経営をデザインする〜」として発表。このページには、同報告書の内容を24回に分けて掲載する。17/24

第3章 知財の価値評価-5
第3節 知財の定量評価の具体的な方法
知財の定量評価は、第1節で述べたとおり、価値創造メカニズムに組み込まれている知財の定性評価を行った上で、当該知財が、当該メカニズムに全体としてどの程度の効果を及ぼすかを数値化する。表3−1で示したとおり、評価の場面に応じて、必要とされる知財の定量評価の精度は異なる。本節では、知財の定量評価の具体的な手法についていくつか例示する。
第1項 金銭的価値の評価
(@)代表的な価値評価方法の種類
ここでは、従来から知られている知財の代表的な価値評価方法について簡単に説明する。保有資産の経済的価値を評価する手法として、「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」「インカムアプローチ」が一般的に知られている。知財の価値評価においても、上記の各種方法が同様に用いられている。コストアプローチは、当該資産を取得するために要した費用に基づいて評価する方法、マーケットアプローチは、当該資産をマーケットにおける取引価格等に基づいて評価する方法、インカムアプローチは、当該資産を将来の経済的価値を見積もることにより評価する方法である。
コストアプローチは、評価データが客観的、計算が容易、未利用特許の評価が可能等の長所がある一方で、同じコストをかけても同じ知財を創造できるとは限らない、技術の収益力を反映していない等の短所がある。
マーケットアプローチは、市場における取引価格を基礎とするため客観的な経済的評価に近いという長所がある一方で、比較できる事例が限られている(データが不足している)という短所がある。
インカムアプローチは、将来の収益性を評価に反映できるという長所がある一方で、収益予測が難しく主観的判断が介在しやすいという短所がある。
そして、知財の価値評価方法は、取引目的(M&A、知財の売買、ライセンス契約等)の場合、客観性のある情報が評価の過程で示され、当事者間で納得が得られるものであれば評価方法はいずれでもよいという指摘がある。しかしながら、本報告書において、「知財のビジネス価値」は、価値創造メカニズムとの関係で知財の価値を把握するものであるため、後述する(A)〜(E)で紹介する方法を推奨する。

(A) インカムアプローチによる定量評価
インカムアプローチは、事業が生み出す利益のうち、知財の貢献度を知財価値として評価する方法である。インカムアプローチでは、将来の事業計画を設定し、これに基づき見込まれる将来キャッシュフローを予測し、リスクに応じた割引率によって割り引くことにより事業価値を求める。したがって、知財の価値評価におけるインカムアプローチでは、少なくとも「事業計画」、「知財の貢献度」、「知財固有の割引率」の三要素が必要である。
「知財の貢献度」の算出にあたっては、事業戦略の実行における知財の位置づけを明確にした上で、貢献度を分析する。この分析にあたっては、対象となる知財がユーザにとってのKBF(Key Buying Factor)としてどれぐらい貢献しているかという知財の事業への貢献度が最も重要であり、次に評価期間の設定が重要となる。例えば、特許期間満了まで事業に貢献できる知財は製薬などの一部に限られており、通常は対象製品・サービス等のライフサイクル、技術の陳腐化、事業ステージ(導入期、成長期、成熟期、衰退期)、次世代技術による代替可能性などを考慮する必要がある。既に保有している知財の貢献度は、主に知財の事業への貢献度から対象となる知財の態様毎(特許、ノウハウ、その他)に貢献度を分解し、評価期間及び陳腐化率を考慮して算出する。また、将来保有する知財の貢献度(「将来のR&Dで創出される価値」)も考慮する。また、この際、将来創出される知財の価値とは明確に分離して考える必要がある。
「知財固有の割引率」としては、知財の特性に応じたリスクに対応したものを設定する。知財は、実物資産と比較して、期待利回りは高いがリスクも高いため、割引率は、加重平均資本コスト(WACC)よりも高くなる傾向にある。

(B)ビジネスモデル(知財)の定量評価
第2節(@)で述べた通り、ビジネスモデルは知財であり、これにより他社との差別化がなされている場合、ビジネスモデルそのものに価値があるといえる。
このビジネスモデルとしての知財の価値について、牧場経営を用いて説明する。牧場経営では、牧場や牛を資源とし、肉や牛乳を出荷して収益を得るのが典型的なビジネスモデルである。このような典型的モデルから、保有する飼料配合技術や給餌技術を活用し、搾乳データをもとに、牛の状態に合わせた飼料を出荷したり、給餌について他の牧場へ指導したりすることで収益を得るというビジネスモデルに将来的に移行するケースを想定する。この想定の下では、これまでのビジネスモデルを継続した場合と、新しいビジネスモデルに移行した場合とで、事業価値に差が生じる。この事業価値の差は知財の貢献により生じたものと考えられ、その値をもって、ビジネスモデルとしての知財の価値とすることができる。



 リンク集

 WIPO
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 特許庁
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 経済産業省
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 最高裁判所
最高裁判所のホームページです。
 知的財産戦略本部
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 文化庁
文化庁のホームページです。
 輸入差止情報
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 仲裁センター
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