日本国政府の知財戦略、知的財産権に関する国際機関や国際条約、知的財産政策部会の検討内容、知的財産制度の見直しなど、プロパテントをめぐる政府・経済産業省・特許庁等の情報を掲載します。

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 特許行政年次報告2018年版」冒頭特集〜明治初期からの産業財産権制度の歩み〜及び第1部 知的財産権をめぐる動向の第1章 国内外の出願・登録状況と審査・審判の現状

 知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統計情報等を基に取りまとめた「特許行政年次報告2018年版」が公表された。今回の報告には、冒頭特集として〜明治初期からの産業財産権制度の歩み〜が掲載されている。そこで、同報告書の「冒頭特集〜明治初期からの産業財産権制度の歩み〜」及び「第1部 知的財産権をめぐる動向」の中の「第1章 国内外の出願・登録状況と審査・審判の現状」に記載された内容を14回に分けて掲載する。1/14

冒頭特集 〜明治初期からの産業財産権制度の歩み〜
 本年(平成30 年(2018 年))は、明治元年(1868 年)から満150 年を迎える節目の年である。先人たちの熱い想いで導入され、これまで幾多の先進的な技術を保護し、我が国の産業を世界一まで押し上げてきた産業財産権制度について振り返る。
 「1. 産業財産権制度設計への道」として、特に初代特許庁長官である高橋是清に焦点をあてつつ、明治初期から中期にかけて、当時の先人たちが、諸外国の技術との圧倒的な差を感じ、世界に追いつき、追い越すためには、我が国に産業財産権制度の導入が必要であるとして、その制度設計に尽力してきた姿や想いを紹介する。
 「2. 特許・意匠・商標の三条例制定後の登録第一号」では、特許・意匠・商標の三条例が制定された後、我が国で初めて登録された出願を紹介し、当時の出願書類から見える、明治期の人々の生活や産業が、一体どのようなものであったのかということについて想いを馳せる。

1 産業財産権制度への道
〜産業財産権の重要性への気づき、専売特許条例制定作業の始まり〜
 明治維新前、幕藩体制下で行われていた各藩の輸出入品に対する統制と課税、藩札の発効、藩専売や、幕府の株仲間政策等により各商品の製造及び流通が統制されていたが、明治政府の近代化及び自由化を目的とする政策によってこれらの制度は廃止され、各商品の粗製乱造や特産物の模造等、経済秩序に一時の混乱が生じていたといえる。  一方、明治政府は、積極的な欧米技術の導入や官営工場の設立等、殖産興業政策を推し進めており、我が国の工業化及び近代化は進みつつあった。実際、衣類や金属製品といった各種製品の輸出も明治初期から伸びを見せ始めていた。
 また、明治元年(1868 年)前後の段階において、福沢諭吉による「西洋事情」外編第3巻や、神田孝平による「西洋雑誌」第4 巻掲載の「褒功私説」のように、海外の産業財産権制度の紹介や我が国での必要性を説く論説が多く出されており、我が国では産業財産権の重要性が早くから認識されていたとともに、同時に普及も進みつつあったことが窺える。
 例えば、福沢諭吉は、「世に新発明のことあらば、これよりて人間の洪益をなすことを挙げて言うべからず。ゆえに有益の物を発見したる者へは、官府より国法をもって若干の時限を定め、その間は発明によりて得るところの利潤を独りその発明者に付与し、もって人心を鼓舞する一助となせり。これを発明の免許( パテント)と名づく」 として、発明の奨励とそれによる国民の利益を説明している。
 このような状況の中、明治2 年、各種議案を審議する公議所において特許制度の制定を求める議題が可決され、明治4 年には専売略規則が制定された。しかし、この専売略規則は明治5 年には執行停止された。この理由は明らかではないが、初代特許庁長官の高橋是清がその自伝において「ひとたび発明専売略規則なるものが発布されたが、実施する段となって、発明の審査に当たる者がない。」 と記載があるように審査実施体制の不備や、あるいは、発明者に対して専売を与えるべきか褒賞とするべきかとの政府内での議論などが要因として考えられている。
 しかしながら、専売略規則の執行停止後においても、特許制度を求める世論は日増しに高まり、政府に対して多数の上書や建白書が提出されるとともに、新聞や雑誌へも多数の論説が掲載された。この中、専売特許に関する立案作業は政府内でも継続して行われており、明治6 年からは大蔵省で、明治10 年からは内務省及び工部省で、それぞれ制定作業が開始された。
 また、明治4 年から、岩倉具視を筆頭とする使節団が米国と欧州を訪問し、条約改正交渉に代えて各国の政治や産業等の視察を実施し、明治6 年に帰国した。この使節団は、米国の特許局を訪問するとともに、米欧各国の特許関係の資料を持ち帰り、専売特許条例制定作業に大きな影響を及ぼしたといわれる。
 その当時(明治7 年頃)、先述の高橋是清は、文部省に教育制度確立のため雇用されていたモーレー博士のための通訳を行っていた。博士より、日本には商標や発明を保護する規定がなくその必要がある旨の話を聞いた高橋是清は、産業財産権の重要性を大いに感じ、当時の大英百科事典を基にその研究を進めるとともに、文部省内でも産業財産権の保護の重要性を説いていた。
 明治14 年4 月、農商務省が設立された。農商務省事務章程第5 条の規則により、この省が特許及び商標の所管官庁として明確に位置づけられ、専売特許条例の制定作業が実施されることとなった。その際、上述のとおり、産業財産権の保護の調査を行い、その必要性を提唱していた高橋是清は、そのことをよく知る山岡次郎(農商務技師)による推薦もあって、農商務省へ入ってこの制定作業に従事することになった。



 特許行政年次報告2018年版 第1部 知的財産権をめぐる動向の中の 第2章 企業等における知的財産活動、第3章 中小企業・地域における知的財産活動、 第4章 大学等における知的財産活動企業における知的財産活動及び第5章 分野別に見た国内外の出願動向

 知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統計情報等を基に取りまとめた「特許行政年次報告2018年版」が公表された。そこで、同報告書の「第1部 知的財産権をめぐる動向」の中の「第2章 企業等における知的財産活動」、「第3章 中小企業・地域における知的財産活動」、「第4章 大学等における知的財産活動」及び「第5章 分野別に見た国内外の出願動向」に記載された内容を14回に分けて掲載する。1/14

第1部 知的財産をめぐる動向-11
第2章 企業等における知的財産活動
 企業活動の高度化・グローバル化の進展等に伴い、我が国企業の知的財産活動を取り巻く環境は大きく変化しており、また、企業規模や技術分野の違いによって、知的財産戦略は多様化しているといえる。これらの状況について、本章では、出願件数等の動向からみた知的財産活動の実態、知財担当者数・活動費からみた知的財産活動の状況、知的財産権の活用状況等を紹介する。

1知的財産活動の状況
(1)特許出願と研究開発費や売上高・出願順位規模別にみた特許出願件数
 内国出願人による特許出願件数の推移を中長期で見ると、1980 年から1987 年までは総R& D 費の推移に同調するように漸増している。1988 年に改善多項制 が導入された後は、伸びは鈍化したが、引き続き漸増し、2000 年にピークに達した(38.7 万件)。その後は漸減傾向となったものの、2016 年からは再び増加に転じ、2017 年には26.0 万件となった。なお、2008 年から2009 年にかけての大きな減少は、2008 年9 月に発生したリーマン・ショックの影響を受けたものと考えられる。
 外国出願人による特許出願件数の推移を見ると、1980 年から2007 年までは堅調に漸増している。2007 年にピーク(6.3 万件)に達した後、2008 年9 月に発生したリーマン・ショックの影響を受けて、2009 年には5.3 万件にまで減少した。その後は漸増傾向となったものの、2014 年を境に再び減少に転じ、2017 年には5.8 万件となった。
 また、我が国企業のグローバル化が進展する中、我が国企業の海外法人の売上高は2009年度以降から見ると増加傾向にあるが、他方で、日本から海外への特許出願件数は、2012年以降は横ばいであった。このことから、近年においては海外における我が国企業による特許出願が必ずしも十分でない可能性があると考えられる。したがって、海外における製品やサービスを適切に保護するために、我が国企業がグローバルでの出願戦略をより一層強化していくことが必要と考えられる。
 出願順位規模別で見ると、出願件数上位30 社で全出願件数の25%程度、出願件数上位300 社で全出願件数の60%を占めている。そして、2013 年から2017 年にかけて、出願件数上位30 社が大きく出願を減少させ(2013年9.4 万件→ 2017 年7.9 万件)、2017 年には、出願件数上位1,000 社以外による出願件数が、出願件数上位30 社のそれを逆転した。出願件数上位1,000 社以外による出願について、その割合のみならず件数自体も増加傾向にあることから、大企業に加えて、中小・ベンチャー企業といった、多様な企業により出願がなされ特許制度が利用される傾向がより強まっているといえる。



 特許行政年次報告2018年版 第3部 国際的な動向と特許庁の取り組み 第1章 国際的な知的財産制度の動向 1.出願動向の変化とグローバル化、及び米国、欧州、中国、韓国の動向

知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統計情報等を基に取りまとめた「特許行政年次報告2018年版」が公表された。そこで、同報告書の「第3部 国際的な動向と特許庁の取り組み」の中の「第1章 国際的な知的財産制度の動向」に記載された内容の中から「1.出願動向の変化とグローバル化」及び米国、欧州、中国、韓国の動向に関する記載の抜粋を16回に分けて掲載する。13/16

5 韓国における動向
 韓国では、2011 年の知識財産基本法の施行を受けて、国家知識財産委員会が設立され、知識財産強国及び豊かな未来の実現のため、知識財産の創出・保護・活用の好循環を政策目標に掲げて、様々な取組を積極的に推進している。2017 年は、国際裁判部の設置法案可決、第二次知識財産基本計画の策定、第4 次産業革命時代における知的財産政策方向の公表等、韓国の知的財産制度は多くの変化があった1 年であった。
 本節では、我が国との関係に加え、韓国における近年の知的財産政策の動向及び韓国特許庁(KIPO)の各種取組について紹介する。

(1)我が国との関係
 日本国特許庁(JPO)とKIPO とは、1983 年に第1回日韓特許庁長官会合を開催して以降、意匠、商標、審判、機械化に関する各種専門家会合や、人材育成機関間の会合等を開催し、二国間の課題について意見交換を行っている。また、両庁における国際審査官協議も積極的に行われており、特許・商標審査についての相互信頼の醸成を図っている。
@KIPOとの各種会合について
a. 日韓特許庁長官会合
 第29 回日韓特許庁長官会合は、2017 年12月に韓国済州島で開催され、JPO 及びKIPO における人工知能(AI)の業務適用等、第4 次産業革命に対応するための取組に関する情報共有に合意した。
b. 日韓意匠専門家会合
 第16 回日韓意匠専門家会合は、2017 年9月に韓国・ソウルで開催され、日韓双方の意匠保護制度、意匠審査実務、ロカルノ分類に基づく意匠分類の開発、ハーグ国際意匠登録出願の審査判断手法等について情報・意見交換を行った。
c. 日韓商標専門家会合
 第15 回日韓商標審査専門家会合は、2018年2 月に韓国・ソウルにて開催され、JPO 及びKIPO 双方の最新の動向、商標法及び制度、商品及び役務の分類、品質管理等について情報・意見交換が行われた。また、2016 年に引き続き、地域団体商標・地理的表示(GI)リストを交換した。
d. 日韓審判専門家会合
 第8 回日韓審判専門家会合は、2017 年7 月に東京で開催され、日本の判定制度及び韓国の権利範囲確認審判、商標審判制度及び口頭審理等に関する意見交換を行った。
e. 日韓機械化専門家会合
 第20 回日韓機械化専門家会合は、2017 年7 月に東京にて開催され、グローバルドシエ、機械翻訳、特許情報の交換等について議論し、引き続き協力を進めていくことに合意した。



 リンク集

 WIPO
国連の世界知的所有権機関のホームページです。
 特許庁
特許庁のホームページです。
 経済産業省
経済産業省のホームページです。
 最高裁判所
最高裁判所のホームページです。
 知的財産戦略本部
知的財産戦略本部のホームページです。
 文化庁
文化庁のホームページです。
 輸入差止情報
税関の輸入差し止め情報のホームページです。
 仲裁センター
日本知的財産仲裁センターのホームページです。


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